腰明蜻蛉(こしあきとんぼ)-ほたるへんぶ-

                                 偶数土曜班 森永 重代記
 野鳥公園のとんぼの種類が少なくなった中で、これまでに見かけなかった「こしあきとんぼ」(1),(2)が昨年から「塩辛とんぼ」、「なつあかねとんぼ」(2)に次いで見られるようになった。子供の頃、この「こしあきとんぼ」だけが素手で捕らえることの出来なかった羨望のとんぼだった。樹木が天井を覆うように伸びた薄暗いところを飛び交う様は、腰の部分だけが白い点となって見え、恰も蛍が飛んでいるかのようで、祖父は「ほたるへんぶ」と呼んでいた。

 第3の池で写真に撮ることができて子供の頃果たせなかったことがやっと叶えた思いでうれしかった。福岡県の筑後地方では「とんぼ」のことを方言で「へんぶ」と呼んでいたので「ほたるとんぼ」で図鑑の索引を探したが見当たらなかった。形態図から「こしあきとんぼ」なる名称を探し当てた。その名称は、下記に紹介するように体が全体に黒く腰の部分の黒色が抜けて白くなっていることに由来するらしい、味気のない名前である。今も「ほたるへんぶ」と呼んでいるのか、電話で郷里の友達に確かめてみると、「こしあきとんぼ」自体を見る機会がなく、すっかり忘れられていた。今更ながら、「ほたるへんぶ」と名づけた筑後地方の情緒豊かな昔の人々が懐かしまれる。

 こしあきとんぼ(腰明蜻蛉)の形態と生息地
体長:42mm、羽根をひろげた長さ(翅張(しちょう))79mm内外。体色:黒褐色。顔面:黄色、2個の褐色環状紋がある。頭頂:黒藍色。はね(翅):透明、先端部の紋(縁紋)は黒色、前縁近傍は多少黄色、前後のはね(翅)の付け根に黒褐色班があり、後ろの翅にある班は殊に著しく大形である。脚:黒色。雄:第2第3第4腹節は白または黄白色。雌:第4腹節に黒帯がある。生息地:樹木で囲まれたやや薄暗い池沼や流れの緩い川。成虫出現期:5月下旬から10月中旬。分布:本州、台湾、中国。
参考文献:(1)集成昆虫図鑑 著者村越三千男、(2)昆虫の図鑑採集と標本の作り方 著者福田晴夫他 
  
会報第8号(平成18年10月発行)より

2007年02月26日

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